Taichi Nishishita
Architect & Associates
Blog

市坪の家・お引渡し

2016.10.13

「市坪の家」を昨日無事にお引渡ししました。

達成感もさることながら、毎日のように通い続けた現場にもう入れなくなることの寂しさでいっぱいです。建主さんも本当に喜んでくださっていたので、これからは私の替わりにより一層かわいがってもらえるものと信じています。

引渡しの一番最後には薪ストーブの火入式も行いました。ゆっくり火が着いていってパチパチと薪の燃える音を聞く静かな時間の中で、「やっと全部終わったんだな」という実感が沸々と湧いてきました。

建主さんのこれからの暮らしが豊かなものであるよう願っています。

カメラマンの所作

2016.10.10

10/9(日)、10(月)と東京より建築カメラマン西川公朗さんに撮影に来ていただきました。全国的にも大変有名な方なので恐縮していましたが、穏やかな感じの方で気さくに接して頂きました。

撮影している西川さんを間近で見ていて思うのは「所作が美しい」ということ。カバンからフィルムを取り出し、セットし、シャッターを切るまでのすべての動作がとても優雅で本当に見とれてしまいます。私も図面のプレゼンテーションをするときの指の動きや会話の間合いなど、相手にとって安心できて優雅に見えるよう心掛けたいものです。

また、写真を撮りながらポツリポツリとお話ししてくださることが、とても奥深くミステリアスな内容ばかりで、自分の物事や空間、光に対する思慮の浅さに反省させられました。

写真の出来上がりがとても楽しみです。きっと自分の想像を遥かに超えるものができるはずです。

いよいよ

2016.10.06

「市坪の家」も無事、検査済証を頂き、本日施主検査、後は細々とした美装でお引渡しとなります。建主さんは引越しを楽しみにしてくださっていますが、毎日のように通った現場なので、もう行けなくなるかと思うと何だか少し寂しいですね。

たった一つの家からいろんなご縁や経験を得ることができ、建主さんには感謝の気持ちでいっぱいです。いよいよ、あと僅かで引き渡しですが、気を引き締めてやっていきます。

意志のある仕事

2016.09.25

先週土日の間で造園屋さんがきれいにアプローチの庭を仕上げてくれました。内子から来てくださった「井口農園」さんです。 私も両日とも現場に顔を出して、いろいろと教えていただきました。

やはり緑があると建物が映えます。

この職人さん、とても気概のある方で、打合で決めたことをただ淡々とこなすだけでなく、現場をみて「こうした方がもっと良くなると思うんだけどどうだろうか?」と積極的に提案してくださいました。

こういう職人さんは本当に大切にしていきたいし、ちゃんと意見を聞こうと思っています。そして、こういうものづくりの姿勢は素直に見習っていきたいと思います。

井口農園さん本当にありがとうございました。

木製デッキの配慮

2016.09.23

「市坪の家」もいよいよ引き渡しが迫ってきました。先日大工さんがデッキをきれいに仕上げてくれました。材料はイペという非常に耐久性に優れた木です。

このデッキでは特殊な治具を使った施工方法でビス頭をなくすという配慮をしてあります。見た目のきれいさだけでなく、足触りも良く、ササクレなども当然出てこないので小さなお子さんでも安心して遊びまわれます。

ビスの納め方一つまで配慮していくなかで、建築の完成度を高めていきます。

要望の本質

2016.09.20

考えさせられる文章に出会いました。以下、引用です。

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客 「掃除機がほしい」
店員「どんな掃除機がほしいですか?機能は?価格は?」

このガイド方法は悪い例だ。「掃除機が欲しい」と漠然と考えている人(ニーズ)に、機能や価格といったウォンツ要素を質問しても、かみ合わない。

客 「掃除機を買いたい」
店員「部屋の広さは? 床の素材は?」

利用シーンを訪問者に想像してもらい、機種を絞り込んでいく方法がニーズをウォンツにするための大切な手法だ、と解説した。
・・・・・

設計においても正に同じことだと思います。〇LKDで個室は〇畳、仕上は設備は・・・と建主に答えを求めるようなやり方はプロのすることではないと思います。

例えば建主さんが「8畳の子供部屋が欲しい」と言っても、それを鵜呑みにするのではなく、「なぜ8畳欲しいと言っているのか」を考える必要があると思います。丁寧にヒアリングしてみると必ずしも8畳である必要はなかったりする場合がままあります。

要望の本質に目を向けることの大切さに気付かされる文章でした。