奈良・岐阜・愛知へ建築視察①
2026.03.25
奈良県・愛知県・岐阜県に建築を
見学しに行ってきました。
今回は建築士仲間であり友人の、
誠陽建設の門脇誠介さん・あずささん夫妻と
あちこち回ってきました。
普段はオンラインでやりとりをすることが多いので、
久しぶりにお会いでき、仕事、建築観、趣味、家族、旅…
いろいろな話をたくさん共有しました。
オンラインではなく対面でのやりとりは
その人の表情やしぐさを感じ取れたり、
お互いの間合いを取ったり、
みんなでその場の空気をつくるような
感覚がありますね。
1日目は奈良から岐阜へ。
最初に向かったのは、
門脇さん設計の奈良県宇陀市に建つ住宅。
門脇さんのクライアントの陶芸家の工房と、
自家焙煎の珈琲を提供するショップが併設された、
平屋の住まいです。
美しい里山の自然に囲まれた場所に
溶け込みながらも、
主張せずとも自立した外観は、
その場所の風景をつくる「小屋」のような
佇まいに感じました。
珈琲ショップエリア。
裏山の緑が窓によって絵のように切り取られています。
南側のハイサイド窓から暖かい光が差し込み、
苆の混じった塗り壁に陰影の表情を与えていました。
珈琲がほのかに香る空間にぴったりの、
肌ざわりの心地良い空間でした。
住まいエリアは玄関土間とLDKが
一体になった構成の、
大らかで簡潔なプランニング。
ハイサイド窓が連なることで、室内が明るく、
目線が自然と上に上がり、
裏山に生える梅の花や木々の揺らぎを
感じることができます。
ダイニング側の掃き出し窓は高さが押さえられ、
外に対して開きながらも、そぞろに感じない。
順光に照らされた里山の景色の方向に、
視線がすーっと抜けてとても気持ち良かったです。
コンパクトで親密な平面計画でありながらも、
勾配天井によって天井高さのメリハリを
つけていること、
陽の光の差し込み方が時間の経過とともに
変化すること、
ハイサイド窓により目線が上向きになることで、
空間の詰まりがまったくなく、
住む人同士の距離感や外部環境の取り込み方が
絶妙だと感じました。
暮らす人の小さな動作までもを捉えて
設計されていることが伝わる、
門脇さんご本人のような、
人思いの柔らかい空間でした。
クライアントの陶芸家さんの工房にて、
陶芸作業を体験させていただきました。
土をこねてタネをつくり、
ロクロを回しながら形をつくっていきます。
軽々と行われるデモンストレーションを
見せていただき、
「うんうん、なんだか自分も出来そう」と思って
実際に自分でやってみると、とても難しい。
手と足の動きが揃わなかったり、
身体の居場所や力の安定感がなくなると
すぐに器が「ぐにゃん」となってしまう。
集中力が必要な作業なのですが、
不思議と意識せずとも、ロクロを回しているときは、
自然と集中ゾーンに入る感覚がありました。
時間を忘れ、周りが気にならなくなるような感覚です。
こういう感覚になれる時間は、
普段の生活ではほとんどないように思います。
常にマルチタスクの状況になり、
いっぺんに色々なことを情報処理することが、
私たちにとってはふつうになっています。
そんな日常の中で、土に触れ、
ただただ良い形を求めて集中する時間を取れたら、
少し心に余白ができるのかなと思いました。
料理、畑作業、レゴとかも良いかもしれません。
陶芸家さんの、静かに灯りつづける
陶芸へのエネルギー、
そして職住一体の暮らしを見せていただくことができ、
建築のことのみならず、暮らし、ひいては生き方を
教えていただいたような気がします。
これから経年するごとにこの地に根ざしていく
建物の様子を想像しながら、
次は岐阜の恵那へと向かいました。
続く。