Taichi Nishishita
Architect & Associates
日々のこと

建築の魅力

2019.02.13

*長文になります。

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○○建設様の事務所新築計画にあたり、ご提案の機会を頂きましたこと、そしてご提案までに長らくお時間を頂きましたこと、ありがとうございます。

ご提案にあたり、自分が最も大切にしたことが二つあります。それは「建築としての魅力をつくる」ことと「私に求められていることに応える」ことです。

事務所兼作業場ということで解決しないといけない課題や要望など様々あると思います。自社で作成されたプランもありましたので、それらを要望や設計条件として整理するだけで、もしかしたら計画として成り立つかもしれません。しかし、ある種、優等生的に課題を解いたとしても、それでは足りません。

「解く」というスタンスより「建築の魅力」を作り、その力強い魅力で計画を引っ張っていく方が素敵です。そして、○○さんが自社でも設計できるものをあえて外部の私に求められた理由を自問する中で、(住宅を主として設計する)自分らしさをきちんと出していくことこそ求められていることだと考えました。

具体的にはいわゆるビルっぽく、箱っぽい建築ではなく、「ヒューマンな建築」であることを目指しています。それは外観的にも、内観的にも、体感的にもです。

いくらか条件違反を抱えているかもしれませんが、「建築の魅力」で乗り越えられたら幸いです。また、ここで提案したことが全てでなく、ここから対話を重ねながら、計画案が更なる成長を遂げられるよう願っています。

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これはある工務店さんの事務所兼作業場の計画のプレゼンテーションの際、最初にお話しさせていただいた私のスタンスです。この計画を構想するにあたって、計画そのものはもちろんのこと、建築家として自分がどうあるべきかを深く考えるきっかけになりました。

どんなお客さんであっても必ず様々な要望を頂きます。しかし、それらをチェックリストのように全て満たせばいい建築になるという訳ではありません。「この建築を建てたい!」という情熱が湧きおこるためには、必ず「魅力」が必要だと考えます。その魅力は時に「条件」や「課題」を超越し、計画を前に推し進める原動力になります。

そして、その魅力を生み出す時に大切にしたいのは「何物でもない自分らしさ」です。何かを真似たり、変にお客さんの機嫌を伺うようなことはしてはいけません。私に相談してくれているということは私の創る建築を好きでいてくれているということ。自惚れる訳ではありませんが、そこには自信を持ち、正々堂々と自分らしい提案をすべきと言い聞かせました。

今回、これまで自分の中に抱えていた想いをきちんと文章化し、お客さんに伝えられました。なんだかとても清々しい気持ちです。
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