奈良・岐阜・愛知へ建築視察③
2026.04.03
岐阜県関市にある杉下均さん、出口佳子さん設計の
「後藤昭夫藝術館」へ。
元関市長であり、前衛美術家集団VAVAの創立メンバー
である後藤昭夫氏の個人美術館。
建物のプロポーションや周囲の植栽ともあいまって、
重心の低い、静かで規律のあるの外観。
軒先は1850程度とかなり低く、
その低い軒下を通って建物の中へ入っていきます。
そのまま天井高を低く抑えた玄関を進むと、
天井高の高い、構造あらわしの
展示空間があらわれます。
天井の構造材がこの建築の背骨のようで、
空間に軸とリズムをつくりだしていました。
大きな空間とヒューマンスケールの空間の緩急。
砂利を踏む音が展示室の中に響き、少しの緊張感、
そして自分と他者の存在を感じる。
美術館の展示室というと、
明るいホワイトキューブの空間に
展示物が並んでいるイメージがありますが、
ここは暗さの中に明るさが差し込まれている。
自然光、照明がそれぞれ独立して美しく、
そしてやさしく自然な明るさで作品を照らす。
展示室というより、ヨーロッパの教会のような、
静けさの中の緊張感と、
粗くやさしい手触りのある空間。
杉下・出口建築は紙面だけではなく、
身体で感じなくては分からない。
最終日、愛知県春日井市にある、
みのわ建築工房の箕輪さんの自邸へ。
自邸兼事務所を見学させて頂きました。
気の張らない、日常のための空間。
優しくあたたかな陽光が差し込む
リビングのL字窓から、
庭の木々の揺れる様子を眺め、
小学校のグラウンドからの楽しげな声を聞く。
周辺のゴルフ場の音の遮り方、
小学校のグラウンドとの距離感の取り方、
庭と家の関係の作り方、、
周囲環境との関係を丁寧に紡ぐような設計。
そして、家の中での人の居場所を、
人の動作や動線を考慮されながら、
丁寧に設計されていました。
箕輪さんのお住まいは、
静かに穏やかに暮らしながら、
同時に、自分がこの地域の一員である
ということも感じられる、
「住まい」としての安定感がありました。
住宅の設計は「建物」をつくるだけではなく、
「家族との関係」、「地域との関係」を
つくることであると、改めて感じました。