随分前のことになりますが、
「北斎院の家」にお邪魔してきました。

お料理がお好きな奥さんに手作りのグラタンを
振舞っていただきました。
奥さんはたまにこうやってお友達をお家に呼んで、
お料理をつくったりお花を飾ったりして、
人をおもてなしするそうです。

考えてみれば、最近は人と会うとなると、
カフェでお茶したり、レストランに食事に行ったり、
外に出ることが多いかもしれない。
けれど、たしかに、家に人を招いて一緒に過ごす方が
静かでゆっくりとした時間の流れを感じられるなと。

日々の生活はあわただしく、時間が早く過ぎていくものです。
だからこそ、たまには普段目にとめない部分に気を使い、
部屋を整えるタイミングを設ける。
お気に入りの作家の調度品や季節のお花を選び、
どこにどう飾ろうかと考える。
そんな時間が、空間にも心にも、
ゆとりをもたらすのだと思いました。

庭の草木は無事にすくすくと育っていました。
気候の良い日の朝にはヨガマットをデッキに敷いて
横になったりするそうです。
建築の中でも住宅は特に、
引き渡したあとの住む人の生活によって
出来上がっていくものだなと、いつも思います。

美味しい料理を囲んで
親しい人と穏やかに会話するひとときは、
その場の空気をあたたかなものにするのだと、
改めて体感した時間でした。