南吉田のオフィスに引き続き、作業場の建築をご依頼いただいた。

ここでは機能を限定し過ぎない、あくまでガランとした空間を求められた。シンプルな要望だからこそ、合理性と簡素な美しさに純粋に向き合う計画となった。

化粧と構造を兼ねたアピトン合板と米松垂木の連続。ハイサイドライトの連続。毅然とした対称形。など、美しく飾ろうとするのではなく、「素」のままで美しい建築の在りようを大切にした。

また、この建築を単体で捉えず、「オフィスと一体の建築・環境」と捉えることも強く心掛けた点である。敷地は広く、あらゆる配置や建物形状の可能性があったが、オフィス（とその主要な窓）とこの作業場が良いバランスで対峙し合う配置・建物形状とした。

そのことで、オフィスにとって作業場は視線を受ける安心できる壁となり、作業場はオフィスの庭の豊かさを享受できる環境となった。建築同士が良い相互作用をもたらし合い、周囲の街並みにまで良い景観を拡げることができればと思う。